『九龍ジェネリックロマンス』2巻のネタバレを書いていきます。
『九龍ジェネリックロマンス』2巻のネタバレ
1巻では、鯨井は工藤さんへの恋心を自覚し、その後、親しげに肩を寄せ合う工藤さんと自分が写った写真を見つけました。しかし、鯨井にはその写真を撮った記憶も、工藤さんとそのような関係であった記憶すらもありませんでした。
2巻は、工藤さんの回想から始まります。その回想の中では、工藤さんは新入社員で、鯨井はその会社の上司となっています。鯨井は、工藤さんに九龍をうまく生きるコツを教えます。鯨井は、なつかしいという感情は恋と同じだと思っており、自分は九龍に恋をしているんだと言います。
時は現在に戻り、鯨井は、身に覚えのない、自分と工藤さんが写っている写真を見たことによる衝撃で呆然としている中、楊明と再会します。楊明は、かつて騒音の原因となってしまっていたため、鯨井が、住人の苦情解決の際に出会った女性です。
楊明は、鯨井の様子がおかしいため、自分の家に鯨井を招きます。そこで、鯨井は、自分と工藤さんが写っている例の写真を楊明に見せ、工藤さんとそのような関係ではないこと、写真を撮った記憶がないこと、そして、過去の自分を全く思い出せないことを打ち明けます。混乱する鯨井に対して、楊明は「どれが私で私じゃないかは私が決める。それでよくない?」と言い、その発言は鯨井の心を軽くします。
後日、鯨井は、写真に写っている自分にそっくりな女性(鯨井B)について考える中で、今の自分の存在意義について考えはじめます。そして、工藤さんに「見てください。私を。」と言いますが、工藤さんにははぐらかされます。
また、鯨井と工藤さんは、蛇沼グループがジェネリックテラの建設にアドバイザーとして参加することをテレビで見ます。別の日、工藤さんと鯨井が一緒に訪れたカフェの店員が店を辞めたことを工藤さんが知った直後に、鯨井もそのことを知ります。
鯨井が鯨井Bに似せにいったり、工藤さんが鯨井に鯨井Bを重ねて見たりすることで、二人はすれ違ってしまいます。しかし、工藤さんが鯨井に謝罪し、鯨井と工藤さんが一緒にレモンチキンを食べに行った後、工藤さんの鯨井に対する「見てるんだよ、お前を。」という発言から、工藤さんの意識が変わったことが伺えます。
ある日、鯨井は、蛇沼先生の無料カウンセリングを受けますが、蛇沼先生は鯨井に対して異常に興味を示します。その後、鯨井の会社にまで訪れた蛇沼先生は、鯨井のことを素晴らしいと言い、それを見ていた工藤さんは激怒します。そんな工藤さんには目もくれず、蛇沼先生は、鯨井にキスをして、帰っていきました。
『九龍ジェネリックロマンス』2巻の感想
自分と同じ姿の謎の女性(鯨井B)は、過去の自分である可能性が出てきました。しかし、鯨井が過去の自分を全く思い出せないことに今まで気がつかなかったということはかなり奇妙な状況です。
そんな奇妙な状況でも、鯨井Bではなく、今の自分を見て欲しいと葛藤する鯨井の姿からは、恋する乙女心が表されており、恋愛描写もきちんとされているところが素晴らしいと思います。
1巻で工藤さんが言っていた、懐かしいという感情は恋と同じだと思っており、九龍で暮らす住人たちは皆、九龍に恋をしているんだという発言は、鯨井Bの発言であったという事や、水餃子のお店でいつもご飯を食べていたり、住人と麻雀をして、住人の様子を伺っていたりしたのは鯨井Bが行っていた事だということがわかりました。これらのことから工藤さんが鯨井Bから大きな影響を受けていたことがわかります。
また、工藤さんの、鯨井Bの九龍に恋をしているんだという発言に対する、いつかなくなってしまうんだとしたら恋なんかしたらつらいんじゃないかという返答は、九龍についてされたものですが、同時に愛する鯨井Bを失った工藤さんの現在の状況を示しているとも取れます。そう考えると、よりこの発言の持つ意味が大きくなりますね。
物語が進んでいくにつれて存在感を増してくる蛇沼グループも気になります。ジェネリックテラの建設に蛇沼グループが関わるだけでなく、鯨井に対して異常な興味を持つ蛇沼先生には恐ろしさ、不気味さを感じます。鯨井自身や鯨井B、蛇沼グループについての謎がどうなっていくのかが今後の見所ですね。
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九龍ジェネリックロマンス 2巻